『頭領と私』

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2018年3月発行。

『頭領と私』は、歴史創作本を中心に作ってきた私の5冊目の本にして、初のオリジナル漫画本です。「頭領と私」「甘音の湯と村」の2本立てです。もともとはだいぶ前に描いていた(婉曲表現)長編忍者漫画に登場していたキャラを使い、再構成した作品です。

長く歴史創作で活動してきたものの、そもそもはオリジナルで活動していたこともあり、またオリジナルを描きたいな~という思いが2010年代中盤から徐々に芽生えはじめていました。その候補のひとつとして、この「頭領と私」のキャラたちのことが頭に浮かんでいたのです。戦国時代が舞台なら、今自分の歴史創作を見てくれている方たちにも違和感なく見てもらいやすいかも・・・という思いもありました。とはいえ、歴史創作の方でも描きたいものがいろいろあり、オリジナルにはなかなか取り掛かれずにいました。

ある時、印刷所のサイトを見ていると、バレンタインをテーマにした装丁の本のセットを「期間限定」で受け付けていました。そのセットの用紙や印刷方法を見ていると、この漫画の舞台や人間模様に合ってるのでは?と思い、なんとそれがこの本を作るタイミングになったのです。

期間限定ゆえ、当時描いていた『土曜日の神奈川北条家』(6冊目の本となります)の制作を中断し、この本に取り掛かりました。前年に描いていた無料配布本「頭領と私」を第一話として加筆修正して再録し、第二話を描きおろしました。パルプ感のある表紙用紙、黒と蛍光ピンクの2色刷り表紙、あわいピンクの本文用紙など、素朴ながらもかわいげやパンチも効いた感じにできてよかったです。特に表紙の蛍光ピンクは思った色味(用紙の影響でやや蛍光感が抑えられた、黄色みのピンク)に出ていてうれしかったです。

忍者の村が舞台で、そこに住む人々を描いたわけですが、なんだか描きたいテーマがでかすぎて、わずか28Pの同人誌に収められるものではなかったと思いました。武将なども絡めつつ、もっと長いスパンで捉えて描けたらもっと面白いのにな・・・と。

私は龍平・虎太郎兄弟が好きなのですが、無配版を読んでくれた方々には頭領が人気があったので、急遽表紙に描こうと思ったことを覚えています。頭領の若い時の物語も描いてみたいです。主人公の甘音さん(なぜかさん付けしたくなる)は、可愛いのに着物や髪型が地味なのが特徴です。思えば大名(武将)ばかり描いてきたので、質素な人々を描くと「ああ・・・庶民やなあ・・・」と実感します。

 

今読むと温泉が豪華すぎるなとか、ナチュラルに嘘をかいてしまったなとか、兄の良いところを描けなかったなとか、忍者のこういうところをうまく描きたいなとか、思うことがいろいろあり。今後描くなら、私の考える忍者らしさをもっと描いていけたら~~~と強く思う作品であります。