『Espada y Tigre』

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2020年9月発行。武将イラスト集。

 

2020年といえばコロナ禍の始まりの年であり、同人誌即売会は相次いで中止になっていました。私は諸事情からコロナに関係なく「2020年から即売会参加は控えめにしよう」と決めており、それに重なる形でこのような時世となってしまったので、なんとも言えない気持ちでした。

イベントに出る機会もないけど、2020年というキリの良い年でもあるし、これまで描いてきたイラストをまとめるいい機会かもしれないと思い始めたのは、初夏ごろだったと思います。

ほぼ毎年参加させていただいている「武者絵展」の武将絵を本にまとめたい気持ちが以前からあったので、武将イラスト中心の本にすることにしました。気に入っている作品、転機となった作品を中心に集めていきました。表紙などにゴールドの特殊紙を使い戦国時代風にしたつもりです。

スケジュールとページ構成の都合で、表紙以外描き下ろしを収録することができなかったのが無念なところですが、ほとんどの人が見たことないであろう絵もいちおう入っているので、まあいいか・・・と。理想を追いかけすぎて幻となるより、思い浮かんだものを実現させることが大事と思うのです。(ちなみに、描き下ろしは「スイーツ風味甲冑女謙信」「大坂城五大老」「元旦だよ!北条一族全員集合」という案がありました。)

いつかまたこんなイラスト集が出せるように、精進しつつたくさん描いていけたら・・・と思っています。

『土曜日の神奈川北条家』

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2019年5月発行。『神奈川北条家の兄弟』の続刊となる、神奈川北条家シリーズ第2弾です。

 

実は、前作『神奈川北条家の兄弟』の制作の時点で、「2冊目も出せたらいいな」と考えていました。ワインとチーズは私の創作意欲を相当かき立てていたのです。

2冊目を描くにあたり問題だったのは、「どうやって5兄弟を再び集めるのか」でした。しかし忙しい現代っ子たちが集まれる機会など思いつかず、月日は過ぎていきました。(そもそも戦国大名の時点でも忙しいのに・・・)

そしてついに「べつに5兄弟集まらなくてもいいんじゃね???」と思い至ったのは2018年頃のこと。5兄弟揃えなくても、別の北条家メンバーを出そうと。

そうして表紙を描き、 ネームを描き、制作を進めようとしていたところで『頭領と私』の制作に入ることになり、制作を一時中断することになりました。自分は一人しかいないので同時に作業なんてできず、仕方ないと思いました。そして『頭領と私』を発行後、制作を再開しました。

数ヶ月ぶりにネームを読み返した時、内容をあまり覚えておらず、まるで他人の描いたもののように「えっこれ面白いやん」と思いました。特に終盤の展開を忘れており、最後のページの直前で「氏政なんて言うの!?」と思ったことが印象に残っています。

他にもいろいろ描いていたうえ漫画部分がこれまでよりやや長めの24Pだったこともあり、制作に時間がかかってしまいました。 さらに時間がかかる要因となったのが、おまけのページなどです。

神奈川北条家シリーズは「表紙・口絵・口絵裏・本編・おまけ・あとがき」のフルセットで作っているので、とにかく時間と手間がかかります。(たとえば『永禄四年』は「表紙・口絵・本編・あとがき」という構成です)

おまけの人物紹介ページが前作と同じくとにかく大変です。資料を読み返しながらなるべく正確な内容になるように、本編漫画の内容に沿うようにして、絵も見せたいので限られたスペースで紹介内容をまとめました。この部分だけで100円くらいの価値があると思っています 笑。おまけページに氏政の子供を3人(氏直・源蔵・芳桂院/千葉邦胤室)描きましたが、ちょっと氏政や黄梅院に似せています。

なお、このシリーズのおまけページでは時々猫を放し飼いにしている様子を描いていますが、この頃は猫は放し飼いにされることはありませんでした。

歴史は変わる可能性があるもので、前作~この本を出すまでに研究が進み、北条氏規北条氏邦の兄弟の長幼が入れ替わるという歴史的大変更があったのです。ここぞとばかりに、あとがきで取り上げました。

そんなあれこれを経て完成した北条家シリーズ2作目です。

書籍イラストのお知らせ

3/25発売の『すべては姿かたちにあらわれる! 日本の歴史 生活図鑑 ビジュアルブック』(東京書店)にて、古墳時代室町時代のイラストと江戸時代の扉絵イラストを担当いたしました。

人物以外にも、住まい、道具、食事などいろいろ描きました。どれもがんばって描きましたが、ご飯系と江戸時代の扉絵が特に好きです。

小学生向けですが、大人が読んでも勉強になる楽しい本ですので、チェックしてみてください。

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4885744946/

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『頭領と私』

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2018年3月発行。

『頭領と私』は、歴史創作本を中心に作ってきた私の5冊目の本にして、初のオリジナル漫画本です。「頭領と私」「甘音の湯と村」の2本立てです。もともとはだいぶ前に描いていた(婉曲表現)長編忍者漫画に登場していたキャラを使い、再構成した作品です。

長く歴史創作で活動してきたものの、そもそもはオリジナルで活動していたこともあり、またオリジナルを描きたいな~という思いが2010年代中盤から徐々に芽生えはじめていました。その候補のひとつとして、この「頭領と私」のキャラたちのことが頭に浮かんでいたのです。戦国時代が舞台なら、今自分の歴史創作を見てくれている方たちにも違和感なく見てもらいやすいかも・・・という思いもありました。とはいえ、歴史創作の方でも描きたいものがいろいろあり、オリジナルにはなかなか取り掛かれずにいました。

ある時、印刷所のサイトを見ていると、バレンタインをテーマにした装丁の本のセットを「期間限定」で受け付けていました。そのセットの用紙や印刷方法を見ていると、この漫画の舞台や人間模様に合ってるのでは?と思い、なんとそれがこの本を作るタイミングになったのです。

期間限定ゆえ、当時描いていた『土曜日の神奈川北条家』(6冊目の本となります)の制作を中断し、この本に取り掛かりました。前年に描いていた無料配布本「頭領と私」を第一話として加筆修正して再録し、第二話を描きおろしました。パルプ感のある表紙用紙、黒と蛍光ピンクの2色刷り表紙、あわいピンクの本文用紙など、素朴ながらもかわいげやパンチも効いた感じにできてよかったです。特に表紙の蛍光ピンクは思った色味(用紙の影響でやや蛍光感が抑えられた、黄色みのピンク)に出ていてうれしかったです。

忍者の村が舞台で、そこに住む人々を描いたわけですが、なんだか描きたいテーマがでかすぎて、わずか28Pの同人誌に収められるものではなかったと思いました。武将なども絡めつつ、もっと長いスパンで捉えて描けたらもっと面白いのにな・・・と。

私は龍平・虎太郎兄弟が好きなのですが、無配版を読んでくれた方々には頭領が人気があったので、急遽表紙に描こうと思ったことを覚えています。頭領の若い時の物語も描いてみたいです。主人公の甘音さん(なぜかさん付けしたくなる)は、可愛いのに着物や髪型が地味なのが特徴です。思えば大名(武将)ばかり描いてきたので、質素な人々を描くと「ああ・・・庶民やなあ・・・」と実感します。

 

今読むと温泉が豪華すぎるなとか、ナチュラルに嘘をかいてしまったなとか、兄の良いところを描けなかったなとか、忍者のこういうところをうまく描きたいなとか、思うことがいろいろあり。今後描くなら、私の考える忍者らしさをもっと描いていけたら~~~と強く思う作品であります。