上杉家の手紙たち「上越市史別編1 上杉氏文書集1」

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ネットで上杉家家臣団について調べていたら、謙信や家臣たちの書いた書状や、他から上杉家に届いた書状を集めて収録した「上杉氏文書集」という本があることを知り、さっそく図書館へ行って来ました。
少し前から、戦国武将の書く手紙は(いろんな意味で)めちゃくちゃ面白いと思っていたので、読んでみるいい機会でした。

ついでに「定本上杉名宝集」という凄そうな本も貸りました。

続きから文書集の感想!
文書集は厚い&重い本だったのでとりあえず1巻だけを貸りて読んでみた感想。

古文読めねえ。
いやいや、なんとなくぼんや〜り意味はわかる気がするんですが・・・宛名や単語くらいはわかる古文解読スキルです。

1巻は謙信時代の書状を中心に家臣たちや他家の大名たちの書いた書状が活字で収録されてます。(2巻は景勝中心でした)
書状の原文のみの収録で訳文は載っていないので典型的なちんぷんかんぷん状態になりましたが、別冊で書状の写真がたくさん載っていてこれがすごくいい・・・。
美しさに定評のある謙信の字がたくさん見られます。有名な伊呂波手本や喜平次宛の手紙もありました。
謙信の書いた「いろは折手本」は、くずし字ではない普通に読めるひらがなで書かれていて、書状全部この感じで書いておいていてくれよ・・・と思った。

そしてこの別冊の巻末には、謙信・上杉景虎河田長親の3人の花押と印章の一覧が載っているのですが、なぜこの3人なんだと思った。
他にも書状が紹介された武将はたくさんいるのに、謙信以外が何故よりによって美男2人。ほんとに誰チョイス。


一通だけなんとか解読してみました。上杉景虎から河田長親への書状です。イケメンからイケメンへの手紙です。
内容は「陣中なので心配していました。ナマコの腸の塩辛(海鼠腸)が届きました。うれしいです。こちらの事は・・・(解読不能なので中略)詳しいことは使者から聞いてね」というところだけなんとか解読しました。※訳は間違ってたらすみません
「海鼠腸(このわた)」というインパクトある名の食べ物は、日本三大珍味のひとつらしいです。書状の日付が壬正月24日になってたので、めでたい正月に長親から景虎へ珍味を送ったのでしょうかね。


そもそも、謙信が河田長親に送った「気づかいのある」書状を読んでみたくて興味を持った本でした。
謙信→長親の書状も載っていますが、例によって解読不能によりどのへんが気遣いなんだかさっぱりわかりませんでしたとほほ。
そんなわけなので、別冊に長親の制札が載っていた時は小躍りです。
長親は「件」という漢字の、最後に書く線を左に向かってやたら長く書くくせがあるようで(↑の絵参照、もっと長いかも)、長親と北条高広との連署制札を見た時「本文は長親が書いたな」と一発でわかって面白かったです(笑)
(追記:※長親というか、長親の祐筆が書いたのです・・・)

けっこう、意外な人物から意外な人物へ手紙が出されていたりして(EX.本多忠勝→山浦国清、織田信長直江景綱)、現代での有名無名の知名度を超えた、戦国時代でのリアルなつながりがあったんだと感じました。